マスコミ報道から : <08年度予算>増税論議避けられず…暮らしの先行きに懸念(07年12月25日、毎日)
08年度の政府予算案が24日に決まり、先にまとまった与党税制改正大綱と併せて来年度の税財政の枠組みが固まった。税制の抜本改革などが先送りされたため、国民生活への影響は小さい見通しだが、09年度には基礎年金の国庫負担割合引き上げが予定されているため、08年中に増税論議が本格化するのは必至。景気減速感に加え原油高や食品・日用品の値上げが続く中、今後の暮らしには暗雲が漂い始めそうだ。
08年度の予算案と税制改正大綱は、地方交付税の増額や法人事業税の再配分など地方への配慮が目立つが、個人の生活に大きく響くような項目は少ない。 強いて挙げれば、09年1月以降に制度が変わる証券税制。優遇税率(10%)を適用される株式譲渡益や配当にそれぞれ500万円と100万円の上限が設けられるため、ニッセイ基礎研究所の篠原哲研究員は「退職金を投資信託などで運用している団塊の世代などには、負担が増える人が多いのでは」とみる。 世帯の税負担への影響が、08年度は目立たないからといって、安心してはいられない。04年度に始まった年金制度改正により、保険料の負担は増える一方だ。民間サラリーマンが加入する厚生年金の場合、2017年度までに年収の18.3%(労使折半)に段階的に上げられることになっており、国民年金などを含めた08年度の負担増は全国の世帯で計1.4兆円(07年度は1.5兆円)に達する。篠原研究員の試算では、夫婦(夫はサラリーマン、妻は専業主婦)と子供2人で年収700万円のモデル世帯の場合、年間約9000円の増加だ。 さらに09年度までに、原則として全国民が加入する基礎年金の国庫負担率が、現在の3分の1強から2分の1に引き上げられる。約2.3兆円の財源が必要になり、消費税の引き上げが課題になることは必至だ。 与党税制改正大綱は消費税を「社会保障の主要な財源」と位置づけており、政府・与党は今後、民主党にも参加を呼びかけ、社会保障を議論する協議会を設置し、08年中に財源の検討を始める考えだ。 マスコミ報道から : 「社会保障会議」設置へ、政府 消費税増税論議狙う(07年12月19日、赤旗)
政府は18日、今後の社会保障政策と負担の在り方を検討する国民会議を設置し、来年1月に初会合を開く方針を決めました。半年後をめどに結論をまとめる予定。福田康夫首相が主導したもので、「社会保障財源」を口実にした消費税率引き上げなどを主な検討課題にすることを狙っています。
首相は同日午前の閣僚懇談会で「さまざまな立場の方に幅広く参加してもらい、社会保障のあるべき姿、どのように負担を分かち合うかを国民が具体的に思い描くことができる国民会議を開催したい」と表明しました。首相側には、「社会保障重視」の姿勢を示すことで、急落する内閣支持率の回復を図る思惑があります。 また、民主党や連合などを巻き込む形で会議を構成し、消費税の増税に道すじをつけることを狙っていますが、13日の与野党書記局長・幹事長会談では民主党を含む全野党に拒否されました。そのため、会議のメンバーは経済界や労働界などの有識者ら十数人になる見通し。年金、医療、介護など課題ごとに専門調査会を設置することも検討しています。 13日の与野党書記局長・幹事長会談で、日本共産党の市田忠義書記局長は「与党税調の税制改正大綱では、消費税を社会保障の中核的財源に充てるといわれており、今度の『国民会議』という仕組みは、そのための地ならしの場になる危険性が大きい」と述べ、「社会保障の問題について議論するというのであれば、国会の、さまざまな委員会で審議をすればよい」として、設置に反対を表明しました。 民主党の小沢一郎代表も18日、「国会に委員会がある。その場(国民会議)でやるなら国会はいらない。役所がよく使う審議会方式的な発想に染まっているのではないか」と述べ、会議への参加を改めて拒否しました。 マスコミ報道から : 「09年度に消費税増」、与党税制大綱 「社会保障の主要財源」(07年12月14日、赤旗)
自民・公明両党は13日、2008年度税制「改正」大綱を決定しました。消費税を社会保障の「主要な財源」と位置づけ、「(同財源を)充実することを検討する」と消費税増税を打ち出しました。09年度に基礎年金の国庫負担割合を引き上げる財源確保などを口実にしており、09年度にも消費税増税を図る考えを鮮明にしました。
同大綱では、研究開発減税の拡充や減価償却制度の「見直し」など、いっそうの大企業減税策を盛り込みました。自動車、電機、製薬などの大企業が法人税減税の恩恵を受けることになります。 都市と地方の税収格差是正では、法人事業税(地方税)の2・6兆円を新設する地方法人特別税(国税)に分離し、地方に再配分するとしています。さらに「税体系の抜本的改革で、地方消費税の充実と地方法人課税のあり方の見直しに取り組む」とのべ、消費税増税と合わせて、地方消費税も増税する方向を示唆しています。 株取引で大もうけを上げる大資産家を優遇する証券優遇税制については、世論と運動に押され期限通り08年末での廃止を打ち出しました。 しかし、譲渡益は年500万円、配当は年100万円の上限額を設け、10%の軽減税率(本則20%)をそれぞれ2年間延長。さらに、「損益通算」制度を導入することで、新たな大資産家優遇税制を拡充しています。 自民党の津島雄二税制調査会長は大綱決定後の記者会見で、消費税を含む税制の「抜本改革」の時期について、基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げる09年度が「われわれの目標の時点と受け取ってもらっていい」とのべました。 マスコミ報道から : 与党税制改正大綱 消費税を目的税化 社会保障財源、増税も示唆(07年12月14日、産経)
自民・公明両党の税制調査会は13日、平成20年度の与党税制改正大綱をまとめた。消費税を「社会保障給付や少子化対策の費用をまかなう主要な財源」とし、社会保障目的税化する方針を打ち出した。21年度に予定される基礎年金の国庫負担引き上げなどで将来の社会保障負担が増す中で、消費税増税を示唆したが、消費税だけでなく法人課税、所得課税の大幅な見直しは先送りされた。
国・地方合わせた減税効果は初年度60億円。初年度4500億円規模の減税効果を期待された19年度税制改正より小幅な改正となった。自民党税調の津島雄二会長は同日の会見で「主なものは21年度から効果を発揮する。証券税制は税収効果が大きい」と指摘した。 政府・与党にとって懸案だった消費税増税は将来的に税率を引き上げる考えをにじませたものの、増税時期や上げ幅の明示はできなかった。 その一方、地方間の税収格差の是正は「税源の偏在が小さく、税収が安定的な地方税体系を構築する」と明記。法人事業税見直しに踏み切った。 法人事業税の半分にあたる2兆6000億円分を新たに創設する地方法人特別税(国税)に移管。人口などを基礎に都道府県に再配分し、財政力の低い自治体にも行き渡るようにした。出身地などの自治体への寄付を税額控除する「ふるさと納税」の導入も決めた。 株式譲渡益や配当などの課税を軽減する証券優遇税制(10%、本来の税率は20%)では、譲渡益で500万円、配当で100万円の上限を設け、22年末まで延長する。道路特定財源は、上乗せ分の暫定税率を10年間維持することを明記した。 マスコミ報道から : 抜本税制改革時期、目標時点は09年度と受け止めてよい=自民税調会長(07年12月14日、朝日)
津島雄二・自民党税制調査会会長は13日、与党の2008年度税制改正大綱決定後に記者会見し、抜本税制改革の時期について、基礎年金国庫負担引き上げの財源確保は逃げられない課題だと述べ「(2009年度を)われわれの目標時点と受け止めてよい」と語った。
大綱では抜本改革の時期について明記を避けているが、津島会長は2009年度における安定財源確保の観点から、念頭にある改革時期が2009年度であることを指摘した。 さらに津島会長は今回の大綱では、後世代に負担を先送りしないために今後の税制改革に臨む「強い決意」を表明。その「一番大事なポイントとして、持続可能な社会保障制度を築き上げるために消費税をこれらを賄う主要な財源として位置づけたうえで、その充実をはかるということをはっきり述べた」と指摘し、事実上、消費税の目的税化に踏み込んだ決意を強調した。 税制改革に伴う増減税規模は、2008年度が国・地方ともそれぞれ30億円程度の減収となる見通し。ただ、2009年度から発効するものが多く、証券税制が本格的に適用されると相当大きな増収になる、と説明した。 マスコミ報道から : 消費税上げの時期を言う段階ではない=福田首相(07年12月13日、朝日)
福田康夫首相は13日、官邸で記者団に、消費税引き上げの時期を言う段階ではないと述べた。与党は13日に正式決定する2008年度税制改正大綱で消費税の社会保障財源化を明記し、将来の税率引き上げの方向性を打ち出した。
消費税引き上げの時期や幅について福田首相は「その前にやることがある」と述べ、「社会保障の給付と負担の検討を済ませないと税制を変えることはできない。まだ時間はかかる」と語った。来年度中に決める考えはないかとの重ねての質問にも「時期などを申し上げる段階ではない」と繰り返し、時期尚早との考えを示した。 マスコミ報道から : 08年度税制改正大綱で消費税上げに布石、選挙意識し「格差是正」が柱(07年12月13日、朝日)
与党の2008年度税制改正大綱がまとまった。大綱で初めて自民・公明の両党は消費税を社会保障目的税と位置づけ、将来の消費税上げへの布石を打った。しかし、衆院解散・総選挙を意識し、当初から抜本改革の議論は見送られ、証券税制では2年間の特例措置として軽減税率を残した。
市場混乱の引き金になるリスクを恐れた結果で、改正案全体は地方に配慮し「格差是正」を政策の柱とする選挙モードを色濃く反映した内容となった。 与党大綱を踏まえ、政府は来年1月の通常国会に税制改正法案を提出する。ただ、法案の成立はねじれ国会で参院第1党の民主党が反対すれば難しくなる。民主党の主張との隔たりは大きく、法案審議での与野党対決がさらなる政局の流動化につながる波乱も抱えている。 <消費税上げ検討へ> 消費税を含む抜本税制改革の議論は今年の最大のテーマだった。しかし7月の参院選で与党が大敗し、早期の解散・総選挙にらみの綱渡りの国会運営のなかで、福田康夫首相が来年度からの消費税引き上げの見送りを決めると、与党税制協議会でも早々に抜本改革の議論は棚上げとなった。 かろうじて、大綱で消費税を「(年金など社会保障の)費用を賄う主要な財源」と位置づけ、同財源を「充実することを検討する」と明記することで抜本改革の道筋を示した。 しかし、消費税上げの時期や幅についての結論は見送られ、「2007年度を目途に、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現」(2007年度税制改正大綱)としてきた従来の与党スタンスより後退の印象は否めない。政局の安定をまって議論を再開する余地を残すのが精一杯だったようだ。 <証券優遇税制は、妥協の産物> 「ゆるゆるの着地案」(自民党税調幹部)──。緊急避難的な市場対策として導入され、2008年度末までに期限が切れる証券優遇税制は2008年末に原則廃止するが、09年1月から2年間、特例措置として事実上延長する。2007年度大綱で1年の時限を切って延長したが、ふたたび「激変緩和の経過措置」(井上義久・公明党税調会長)として再延長された。 2009年1月からは上場株式等の譲渡損失と配当の損益通算を可能とし、個人投資家の株式投資リスクを軽減する措置も講じる。 軽減税率の単純延長こそ回避したが、検討作業中には米サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題に端を発した金融資本市場の混乱が深まり、優遇措置の完全廃止で「株式市場の下げが加速するリスクは取れない」(自民党税調幹部)との見方が支配的になった。 ただ、優遇存続の範囲と期間をめぐって、与党幹部が最後までこだわったのは「金持ち優遇批判」を受けないかどうかの1点。株式譲渡益が年間500万円以下、配当は年100万円までを上限としたが、基準の根拠は不透明だ。 津島雄二自民党税調会長も12日の会見で「過度な優遇措置ではない。一般投資家に安心してもらう見地で2年間の経過措置を設けた」と述べるにとどめている。 <改正のキーワードは「格差是正」> 2008年度大綱は税体系の抜本的改革に向けた「橋渡し」にとどめ、構造改革の過程で生じた問題への対応に重点が置かれたのが特色。具体策の柱は、地方の財政力格差是正や中小企業の活性化などで、津島会長も13日午後の派閥の会合で中小企業の事業承継税制拡充を挙げ「画期的なこと」と説明した。 マスコミ報道から : 日本経団連 消費税増税を明記 20年度の優先政策 財政健全化を前面に(07年12月12日、産経)
日本経団連は11日、政党の政策評価の基準となる平成20年度の「優先政策事項」を発表した。国の財政健全化を前面に、消費税の引き上げを取り上げたほか、社会保障では基礎年金の全額税方式に向けた検討を明記した。
税・財政改革では従来、法人税や所得税と横並びだった消費税を、社会保障費の増大に対応するため、消費税増税により安定財源確保の筋道をつけるよう主張。地方と中央の格差是正につながる地方税改革についても、法人課税への過度な偏重の是正を求めた。 公的年金については、「基礎年金の全額税方式について幅広く検討する」と明記、社会保障制度の信頼回復に議論の喚起を求めた。また、原油価格高騰を受け、産油国に安定供給の要請を行うよう政府に要請。法人実効税率引き下げなど、経団連が従来求めてきた政策も盛り込んだ。 経団連は、「新興国の発展などで日本の相対的地位が低下する中、衆参のねじれで政策の審議・遂行が遅れれば深刻な事態になる」(大橋光夫・政治対策委員長)と政策の着実な実施を訴えた。 マスコミ報道から : 消費税は社会保障税とすべき=津島自民党税調会長(07年12月10日、朝日)
自民党税制調査会の津島雄二会長は9日の民放テレビ番組で「消費税は社会保障税としてはっきり性格を決めるべきだ」と述べ、社会保障財源として目的税化すべきとの考えを示した。
番組終了後、津島会長は記者団に対し、消費税の目的税化を与党税制改正大綱で明記するかどうかは「思案のしどころ」と述べ、明記する方向性に含みを持たせた。 与党は13日に2008年度税制改正大綱をまとめる。08年度改正での消費税引き上げは見送る方針を固めているが、大綱では、将来の税率引き上げに向けた道筋を示す方向で調整している。 マスコミ報道から : 消費税含む「改革」明記、経財会議が来年度予算方針(07年12月4日、赤旗)
政府の経済財政諮問会議(議長・福田康夫首相)は3日、「2008年度予算編成の基本方針」を決定しました。同方針は、「社会保障と税の一体的改革」を明記。社会保障のための「安定的な財源を確保する」と述べました。税制「改革」として、「今後、国民的な合意を目指して、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組む」としています。
参院選の結果や国民の世論と運動に押され、消費税増税の幅と時期については明記しませんでした。同方針は、4日にも閣議決定される予定です。 同方針は、地域間の景気「回復」のばらつきや中小企業の景気「回復」の遅れに言及したものの、来年度予算編成にむけて、「『(構造)改革』への取組を加速・深化する」と強調しました。 「財政健全化」にむけ、「安定した成長を図る」とともに「歳出・歳入一体改革をさらに進める」ことを明記しました。社会保障関係費の自然増分を毎年2200億円圧縮するとした「骨太の方針2006」に沿って「歳出改革」に取り組むことを求めています。 一方、「研究開発・人材育成・IT等民間投資の加速」や「金融・資本市場の競争力の強化」を盛り込みました。これは「成長力強化」を口実に大企業優遇策の継続を示唆したものです。 |