マスコミ報道から : 財政健全化の努力怠れば金利が上昇、消費税率の早期上げを=与謝野前官房長官(08年2月23日、朝日)
与謝野馨前官房長官は2月22日、都内で開かれたセミナーで日本の財政事情について、膨大な債務残高を背景に金利動向に敏感にならざるを得ないぜい弱性を持っており、「政府・与党が財政健全化努力をしなくなったと市場が判断すれば、リスクプレミアムが大きくなり、長期金利は上昇する」と警鐘を鳴らした。
こうした財政の制約がある一方で、高齢化の進行に伴う社会保障費の増大は避けられない状況になっており、持続可能な社会保障制度を確立するための財源として消費税に言及。「(消費税率を)なるべく早い段階で上げないとさらに病状が悪化する。国民のレベルは高く、正直に国民に問いかけることが選挙にも有利」と指摘した。
<国債安定消化は政府の信認がベース、インフレ期待の財政再建は悪魔的>
与謝野・前官房長官は、日本の厳しい財政事情に関して550兆円近くに膨らんでいる普通国債残高に注目してほしいと述べ、「それでも何とか持ちこたえているのは、長期金利が1.5%程度と非常に低い水準に維持されているためだ」と指摘。年間の借換債と新規国債を合わせた発行額は100兆円を超えるとし、「金利が1%上がると、兆円のオーダーで国の負担が重くなる」と語った。
その上で、長期金利が低水準で維持されている理由について「政府が(財政再建を)きちんとやるだろう、という信認がベースにある」ことなどを挙げ、今後も円滑な国債消化を続けていくためには、政府・与党が財政再建を優先課題と位置づけて健全化努力を継続していくことが不可欠との認識を示した。
自民党内には、高い経済成長を実現すれば消費税率の引き上げは不要との声もあるが、与謝野氏は「経済成長の重要性は論を待たない」としながら、「日本のような成熟した経済では、せいぜい実質2%成長が精一杯」と指摘。さらに、名目成長率4─5%をめざすとの議論があるとし、「インフレを期待しているということだ。政治がインフレ頼みで物事をやるのは悪魔的な手法。インフレ期待で財政再建を論じてはいけない」と強調した。
<社会保障財源は消費税に行きつく、法人税減税の発想ない>
こうした深刻な財政事情の中で、高齢化の進行に伴う社会保障費の増大への対応も急がれる。与謝野氏は「財政の持続可能性が問われているが、年金制度の持続可能性も問われている」とし、その財源について法人税や所得税の引き上げが難しいなか、「結局は消費税に行きつく」と発言。
会長を務める党の財政改革研究会が、昨年11月に社会保障費の財源として消費税を5%程度引き上げる必要性を盛り込んだ報告書をとりまとめており、政府も消費税を含む税体系の抜本改革の実現を公言している。
ただ、与謝野氏は「民主党は小沢一郎代表になって消費税の引き上げを引っ込めてしまったが、財政や税制改正という問題が出てきた時は一つの党では背負い切れない」とし、「その意味では、連立は意味がある」と民主党との大連立に言及した。
他方、経済界から要請が強い法人税率の引き下げについては「法人税の減税を考えるという発想は、私の頭の中にはどこにもない」との見解を語った。
3月19日に任期満了を迎える福井俊彦日銀総裁の後任人事に関しては「ただの学者ではだめ。幅広い人脈・知識・経験を持ち、なおかつ日銀法の精神をきちんと実現していく人でなければならない」との考えを示した。
こうした財政の制約がある一方で、高齢化の進行に伴う社会保障費の増大は避けられない状況になっており、持続可能な社会保障制度を確立するための財源として消費税に言及。「(消費税率を)なるべく早い段階で上げないとさらに病状が悪化する。国民のレベルは高く、正直に国民に問いかけることが選挙にも有利」と指摘した。
<国債安定消化は政府の信認がベース、インフレ期待の財政再建は悪魔的>
与謝野・前官房長官は、日本の厳しい財政事情に関して550兆円近くに膨らんでいる普通国債残高に注目してほしいと述べ、「それでも何とか持ちこたえているのは、長期金利が1.5%程度と非常に低い水準に維持されているためだ」と指摘。年間の借換債と新規国債を合わせた発行額は100兆円を超えるとし、「金利が1%上がると、兆円のオーダーで国の負担が重くなる」と語った。
その上で、長期金利が低水準で維持されている理由について「政府が(財政再建を)きちんとやるだろう、という信認がベースにある」ことなどを挙げ、今後も円滑な国債消化を続けていくためには、政府・与党が財政再建を優先課題と位置づけて健全化努力を継続していくことが不可欠との認識を示した。
自民党内には、高い経済成長を実現すれば消費税率の引き上げは不要との声もあるが、与謝野氏は「経済成長の重要性は論を待たない」としながら、「日本のような成熟した経済では、せいぜい実質2%成長が精一杯」と指摘。さらに、名目成長率4─5%をめざすとの議論があるとし、「インフレを期待しているということだ。政治がインフレ頼みで物事をやるのは悪魔的な手法。インフレ期待で財政再建を論じてはいけない」と強調した。
<社会保障財源は消費税に行きつく、法人税減税の発想ない>
こうした深刻な財政事情の中で、高齢化の進行に伴う社会保障費の増大への対応も急がれる。与謝野氏は「財政の持続可能性が問われているが、年金制度の持続可能性も問われている」とし、その財源について法人税や所得税の引き上げが難しいなか、「結局は消費税に行きつく」と発言。
会長を務める党の財政改革研究会が、昨年11月に社会保障費の財源として消費税を5%程度引き上げる必要性を盛り込んだ報告書をとりまとめており、政府も消費税を含む税体系の抜本改革の実現を公言している。
ただ、与謝野氏は「民主党は小沢一郎代表になって消費税の引き上げを引っ込めてしまったが、財政や税制改正という問題が出てきた時は一つの党では背負い切れない」とし、「その意味では、連立は意味がある」と民主党との大連立に言及した。
他方、経済界から要請が強い法人税率の引き下げについては「法人税の減税を考えるという発想は、私の頭の中にはどこにもない」との見解を語った。
3月19日に任期満了を迎える福井俊彦日銀総裁の後任人事に関しては「ただの学者ではだめ。幅広い人脈・知識・経験を持ち、なおかつ日銀法の精神をきちんと実現していく人でなければならない」との考えを示した。