消費税廃止各界連の07年度方針
5月17日の全国代表者会議を受けて修正した「方針」です。 2007年5月24日
〈目標〉 消費税増税に向けた動きが本格的に強められようとしているいま、消費税廃止各界連絡会の存在意義をかけたたたかいが求められている。当面、次の点での運動に全力をあげる。 ?改憲手続き法が強行成立させられ憲法問題が重大局面を迎えているなか、参院選で平和・民主主義問題とともに、消費税・庶民増税問題を争点に押し上げ、増税勢力を追い詰め、議会内の力関係を大きく変える。 ?広範な国民、団体との共同を広げ、「消費税増税法案」をつくらせないように国民的大運動にとりくむ。
〈情勢〉 ?増税勢力の動向 安倍首相は06年9月の165臨時国会での「(消費税に)逃げず、逃げ込まず」の姿勢から、07年1月には「秋から抜本改革の議論を始め、07年度中に実現させる」と消費税増税、法人税減税を含む税制の抜本的改革へとりくむ姿勢を明らかにした。 財界は1月1日の「御手洗ビジョン」で09年度をターゲットに2%増税、2010年代半ばまでにさらに3%の増税を提起、同時に法人税の実効税率30%を要求している。社会保障費の増大、財政赤字などを理由にした「増税不可避」論もマスコミを通じて流されている。 「増税反対」世論の根強さと参院選を見越して、民主党は「消費税を3%増税し基礎年金にあてる」「社会保障目的税」の方針を凍結し、「5%据え置き」を提起した。 政府が強行成立させた07年度政府予算案では「大企業・大資産家への減税は拡大、継続」の一方、所得税・住民税の定率減税全廃の庶民増税は推進を決めている。 地方選のさなかにも、秋以降の増税論議への布石発言が相次いだ。菅総務相は「地方格差是正のために地方消費税の増税」を唱え、自民党の津島税調会長は「年末までに『税制改革の』全体像を示す」、尾身財務相も「来年の通常国会に消費税増税法案を出す」意向を示している。 また、経済同友会は地方選後の4月23日に「消費税16%」と「法人実効税率35%」を提言した。これは年金税、地方分の増税を盛り込んでおり、「社会保障のため」「地域格差是正のため」などを理由に地方自治体を賛成の側に取り込むとともに、企業の社会保障負担軽減をもくろむものである。 政府・財界は今後も、「国際競争力強化」などを理由に、大企業減税・活力強化の育成策を続ける一方、「税金は広く公平に負担すべき」と庶民への負担増をいっそう強化する方針であり、地方選・参院選での「増税反対」世論の広がりと選挙結果が、秋以降の政府・与党の動向に大きな影響を与えることは明らかである。
?国民生活の実態 大企業のバブル期を上回る大もうけの一方、労働者の所得は8年連続で減少し、生活保護世帯が100万を突破し、国民保険料の滞納世帯は480万など、貧困と格差の広がりは、かつてなく深刻になっている。これは、庶民増税・社会保障の切り捨てとともに、賃金切り下げ、リストラ、不払い残業、不正規雇用の増大、単価引き下げなどで庶民の所得が大企業に移転されていることによるもので、政府・与党の施策が原因である。今年は1月からの所得税の定率減税、6月からの住民税の定率減税の廃止で合計1・7兆円の増税となるうえ、税源委譲を名目にした住民税の一律10%化がおこなわれる。この影響を受け、国保、介護保険、保育料などで多くの負担が「雪だるま」式に庶民にかかってくる。さらに、政府が検討している給与所得控除や人的控除の廃止・縮小によるサラリーマン増税や消費税の増税がおこなわれれば、家計と日本経済に計り知れない打撃を与えることとなる。 また、この間の高齢者への負担増に加え、08年4月からの後期高齢者医療制度創設などで医療・介護保険料の強制徴収といういっそうの負担増が押し寄せる。また、社会保険庁解体法案では年金保険料滞納世帯から国民保険証を取り上げる懲罰的な徴収制度を創設することを狙うなど、弱者へのいっそうの攻撃がかけられる。
?国民の意識動向 この間の宣伝・対話からも、「政治とカネ」「税金の無駄遣い」などに国民の怒りが集中している。貧困と格差が広がるなか、庶民増税の一方、大企業・大資産家優遇税制を温存したままの法人税減税先行にはマスコミからも批判が上がっている。 この間の世論調査でも、増税に対する国民の反対世論は根強いことが示されている。消費税税率引き上げに対して、「反対」「どちらかといえば反対」を合わせて70・3%(日本世論調査会06年3月調査、06年8月27日、東京新聞)、連合の調査でも「サラリーマン増税に反対」が92・5%(06年4月13日)、消費税率引き上げは「許せない」54%、「やむを得ない」46%(マクロミル調査、06年12月3日、日経新聞)、「生活不安の中、なぜ法人減税」(06年11月11日、朝日新聞「声」)などの結果が出ている。しかし、「社会保障のためならどうか」の設問ならば反対と容認論が拮抗することからも、社会保障制度改悪への不安が強く、これを逆手に取った「社会保障目的税」化への宣伝が強まることに警戒する必要がある。
?経済団体、労働組合の動向 経済団体、労働組合からも批判が強まっている。 経済団体では「消費税増税議論は時期尚早」(日本商工会議所の山口信夫会頭、07年2月1日)、「(消費税の見直しに関して)安定財源の確保だけをめざした拙速な引き上げの議論はおこなわないこと」(全国中小企業団体中央会、06年11月、平成19年度の税制改正に関する要望)、「消費税の税率引き上げ問題については、国民生活に直結する問題だけに国民の理解に基づく慎重な議論が不可欠であり、政府の歳出削減への真摯な取り組みや構造改革の推進が率先されるべきである」(日本チェーンストア協会の佐々木孝治会長、06年9月26日)の意見が出されている。 労働戦線では全労連が消費税増税反対運動を推進するとともに、連合も「政府・与党は政権公約で2007年度中の税制抜本改革を掲げており、参院選が終われば再び増税論議を行うことが容易に想像できる。われわれは、不公平税制の是正や信頼できる社会保障制度を構築しないまま、財政の帳尻合わせのためだけに増税をすることには断固反対する」(平成19年度「与党税制改正大綱」に関する連合事務局長談話、06年12月15日)など、増税への批判は広がっている。
〈この間のとりくみと特徴〉 ・この1年間、毎月の定例宣伝、4月、7月、9月、12月を「全国いっせい怒りの行動」としてとりくんだ。また2カ月ごとに宣伝ビラの清刷りを作成し、11月に「本当に必要? 消費税増税」リーフレットを作成・普及してきた。 ・06年4月12日の国会要請と代表者会議に150人、06年11月15日の国会要請と学習交流会に150人が参加し、運動の強化を確認した。 ・学習会が各地でおこなわれ、消費税増税の不当性、国民主人公の税制のあるべき姿、不公平税制をただせば財源はあること、などを学び、行動の力にしてきた。 ・地域各界連の再建・強化では増税必至論、やむなし論に対して正面から立ち向かうために各界連の必要性を話し合い、活動を再開する動きが起こっている。 ・宣伝では駅頭だけでなく地域や商店街の戸別訪問をおこなったり、宣伝場所を変更したり、首相宛はがき、クイズ、シール投票、ジャンパー、着ぐるみ、ロングランなど創意ある宣伝が工夫されている。 ・全国いっせい宣伝では、05年12月(1500カ所)、06年4月(2000カ所)など、加盟団体として位置づけを高めたときに統一行動が飛躍的に広がっている。
〈各界連の今日的役割〉 ・庶民増税・消費税増税反対の国民的大運動を全国津々浦々で巻き起こす ・消費税の本質を明らかにするとともに、憲法の民主的原則から導かれる税制のあるべき姿=国民本位の民主的税制を、広く国民に示していく
〈たたかいの方向と重視する点〉 平和・民主主義を守るたたかいと増税・負担増に反対し各階層の生活と権利をまもっていく国民的大運動の発展が求められている。このもとで各界連は「庶民増税・消費税増税反対」の国民過半数世論の結集をはかる。当面、年末までに1000万人対話を推進し、各団体のとりくむ増税反対署名の合計1000万署名をめざす。同時にこれまでの枠を超えた幅広い各種団体への申し入れ・懇談をおこなう。各団体・地域各界連の宣伝・署名、要請を飛躍的に高めるため、運動推進体制を急いで強化するとともに、以下の点を重視する。 ・各団体が現在取り組んでいる、住民税増税・負担増告発の「集中行動週間」や「格差是正」「ワーキングプアをなくせ」「社会保障改善」などのキャンペーンと相乗効果を上げるよう、交流を強め、「これ以上の消費税増税は許さない」の共同の構えをつくる ・各階層の実態、予算の無駄遣いなどあわせ、「庶民には増税、大企業・大資産家には減税の不公平をただせ」「米軍支援に3兆円」「生活費に税金をかけるな」などの声を強めていく ・「社会保障のため」と言われながら社会保障改悪の連続、消費税のこれまでの税収は大企業・大資産家への減税に消えた、という消費税18年の事実を広く知らせていく ・消費税の持つ6つの問題点(消費を冷やす、逆進性、中小企業つぶし、輸出戻し税、リストラ促進、軍事費財源)の本質を知らせる ・税制のそもそもの学習を強めると同時に、税制が本来持つ重要な機能としての再配分機能強化の必要性を訴える ・不公平税制の是正による税収増の試算を広く知らせる ・財政赤字、年金はじめ社会保障の財源など国民の不安・疑問にかみ合った対話を広げていく ・政府・与党、財界、学界、マスコミなどから流される「増税は不可避」「消費税は公平」「増税はやむを得ない」「地方財源強化」「負担増は払わないほうが悪い」などのイデオロギー攻撃を軽視せず、打ち破っていく
〈具体的なとりくみ〉 ?08年3月末までを展望し3つの段階で運動を構築する <参院選までの運動=増税問題を参院選の争点に押し上げ、増税勢力を追い詰める> ・地域各界連を当面600以上めざし、再開・強化する。全自治体をカバーする宣伝を繰り広げる。地域の共闘団体でも増税反対へのとりくみを強める ・署名目標を各団体の取り組んでいる各種署名の合計で300万とする ・全自治体の6月議会へ向け請願・陳情(意見書採択)を推進する ・参院選の政党・候補者に公開質問状、アンケートを送り、増税問題での態度を明らかにさせる ・通常国会へ各団体の要求と合わせ署名の結集、要請行動をおこなう(5月23日、6月9日) ・6月21〜25日までを「許せない! 選挙終われば大増税 全国いっせい怒りの宣伝行動」(仮称)としてとりくむ <秋の運動=増税答申を出させない世論を作り上げていく> ・年末までに1000万人以上との対話をすすめ、各団体合計で1000万以上の「増税反対署名」をめざす ・地域各界連1000をめざす ・全自治体の9月、11月議会へ向け請願・陳情(意見書採択)を推進する ・各団体の国会行動と連携し、独自行動も組んでいく ・国民大運動実行委員会などの大集会に合流していく(10月28日=日=予定) <来年の運動=法案が出された場合、廃案めざす大運動をつくっていく> ・3月末までに各団体署名の合計で1500〜2000万署名を目標にする ・地域各界連は全自治体数に匹敵する1800以上を目標にする ・国会要請、院内集会などを強化する
?地域・地方で重視する点 ・自治体や地域の人口・有権者数などと、各団体の支部や分会、基礎組織などの組織勢力などを明確にし、「大運動をまきおこすために、どういう規模の運動が必要か」「そのための草の根の地域各界連がどれだけ必要か」など、具体的なイメージを明らかにしていく ・リーフレット・増税シミュレーションをいっそう活用し、街頭宣伝で定率減税廃止、住民税10%化問題で攻勢的宣伝を強める。シール投票、ひとことメッセージ、独自の宣伝チラシ、ティッシュなどを工夫する(リーフは現在、30万部のうち22万部を普及) ・地域の各層・各分野のこれまでの枠を超えたあらゆる団体への申し入れ、懇談を強める
?中央各界連としての努力方向 ・月2回以上のニュースなどで情報の提供、交流を促進する ・新しい大量普及の宣伝物を検討する ・大運動実行委、社保協などと情報交換・共同行動に努める ・広範な中央団体、著名人などへの申し入れ、懇談を強め共同を広げる ・ホームページ開設に努力する
以上 |
(2007-4-16 9:00) |
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